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語るに足る、ささやかな人生

29 June 2015 reading

アメリカには人口3000人未満の町がたくさんあって、スモールタウンと呼ばれている。田舎の町。このスモールタウンに絞って旅をした著者の体験記が「語るに足る、ささやかな人生 」という本。もしアメリカを旅行したとしてスモールタウンに行くことはないだろうが、案外知らないうちに何度も訪問しているんじゃないかという感想を持った。

既視感

最初のページにこう書かれている。

町に1軒の映画館は封鎖されたままだし、狭い町が嫌で家出を試みても、隣町までのあまりの遠さにやる気がなくなったりもする。

実際読みすすめるうちに紹介されている町のほとんどが退屈な田舎ではなく、それぞれが豊かな個性を持っている。また、個性を維持する努力を住民が意識的に行っていることもわかってくる。一方、退屈になってしまっている町も紹介されている。努力している町の住人の言葉はどうして退屈な町が出来上がるのかストレートに言い当てていると思う。

「人が集まるようになると、観光資源が入ってくる可能性も少しずつ増えます。しかしそうやって大きな資本をあてにするというのは単なる依存で、それではマウンテン・ビューの人たちは二流の使用人に成り下がってしまいます。自分たちの文化を持ちながら、第三者に利用されることになるのです。それで収入が安定しても、ここで生きる理由になりません」

ごもっとも。誇り高い。自分の住んでいる町を見渡しても国道1号線沿いがまさにそれで、巨大なイオンが出来たりお決まりチェイン店が並んでいるけど、ただただ退屈。空洞です。

しかし、そんな話は一部分でこの本のほとんどが短編小説を読んでいるかのような物語の連続で、最後まで飽きずに読めた。読めたというかイメージが湧いた。既視感があった。

その既視感の正体は映画で、スティーブン・キングというかスタンドバイミーといえばなんとなくわかってもらえるかと思う。この本に載っている物語はスタンドバイミーに出てくるパイ食い競争の小話のようにエグい話はないが、そんな小粋な話の連続なのだ。

おわりに

アメリカに旅行へ行きたい。